【もののけ姫】ハンセン病患者は都市伝説?エボシの存在と宮崎駿の思いとは

1997年に公開された宮崎駿監督代表作「もののけ姫」

時が流れ、令和になった今でも

朽ちることないジブリ作品の中でも名作中の名作ですよね。

私は当時、小学生で町役場の上映会で初めて観た記憶が。。。

イメージとしては「人間VS自然の戦争」って感じ。

子供ながらに、めっちゃ怖い印象がありました。

しかし、大人になった今、何度も見返していると

このアニメーションの中には計り知れないほどの

壮大なメッセージが込められていることがわかったんです!!

また「もののけ姫」の中にも

裏設定と呼ばれる都市伝説があるのを知ってますか?

明らかな実話も織り交ぜられていることを!

「もののけ姫」に秘められた真実を知れば

もっと深くこの作品を知ることができるでしょう!

目次

エボシ御前のキャラクター像

中でも一番魅力的なキャラクターは

「エボシ御前」というリーダー格の女性です。

実は、もののけ姫を詳しく理解するためには

「エボシ御前」というキャラクター像をしっかり理解しておかないといけません!

エボシ御前

深山の麓で、タタラ集団を率いるリーダー的な存在。

常に冷静沈着で、凛とした姿勢を崩すことなく

的確な指示を与えていく姿はまさにできる女の象徴そのもの!

戦いでは自ら仲間を率いて行動する様子が描かれ、

サンから短剣を突きつけられそうになったときも

臆することなく真正面から立ち向かっていきます。

時には猟銃を自ら放つ場面もあり、

そこらへんの男性よりも男性らしい、

とても肝の据わった男前な印象があります。

生活のためとはいえ、

山を削り砂鉄を取り出して武器を作っていた事が原因で

自然との間に対立を生んでいます。

売られた娘達を買い取り、仕事を与えています。

また、ハンセン病者に対しても手厚く世話をし

タタラ場の人々に敬われかつ慕われており

面倒見のよい一面を見せます。

しかし、一方で自分の計画を進めるためには、

タタラ場の人間をも見捨てたりするなど

無慈悲で冷酷な一面もあります。

ハンセン病者

タタラ場の別棟に住み、

治療を受けながら武器を作る作業をしています。

全身に包帯を巻いており、

顔も目と口以外はほとんど包帯でおおわれています。

別棟に住んでいるとはいえ、

差別を受けているわけではありませんが、

病気のせいもあってかどこか弱々しく悲しげな雰囲気を漂わせています。

エボシ御前に対しては、

「人として扱ってくれたたった一人の人であり、

病を恐れずに腐った肉を洗い布を巻いてくれた。」

と恩があるようです。

もののけ姫の時代背景とハンセン病患者

もののけ姫の時代背景

もののけ姫の作中で

「明国の鉄砲は使いにくい」というセリフから推測すると、

明国は、1368年から1644年の間の中国を示していることがわかります。

日本で鉄砲が使われるようになったのは

1543年ポルトガル人によって伝えられたとされています。

江戸時代に入ると昔よりは平和な時代であったことや、

江戸幕府が鉄砲を規制する方針を採ったこともあり、

盛んには使われなくなっていきます。

このことから、

もののけ姫は室町時代を舞台にして描かれているのではないか

と考察されています。

ハンセン病の症状と歴史

人類の歴史上もっとも古くから知られ、

恐れられてきた病気の一つで「らい病」とも言われます。

初期症状は皮膚に斑点ができ、

次第に手足の麻痺、痛みや熱さを感じにくくなっていきます。

感染経路はまだはっきりとはわかっておらず、

鼻や口からの飛沫を介し感染すると考えられています。

そのため作中でも別棟に住んでいましたよね。

しかし、接触を全く禁止しているのかというとそうではありません。

アシタカもエボシも普通に彼らの部屋に入っています。

ハンセン病の感染力は弱く、たいていの人なら免疫でやっつけてしまいます。

昔は治療薬もなく不衛生だったせいもあり感染しやすかったのでしょうね。

ハンセン病患者が受けてきた差別

日本では8世紀につくられた「日本書紀」からハンセン病の記述がのっており、

1943年にやっと米国で治療薬が見つかって、ハンセン病は完全に治る病気となりました。

すごい年月がかかりましたね!

長い年月がかかった故なのか?

ハンセン病患者からの感染はほとんど無いにもかかわらず、

社会の無知、誤解と根拠のない恐れから、

患者やその家族達が差別を受けてきました。

中には生活の苦しさに耐えられず自殺した人も多くいたということです。

そのような社会問題は治療薬が開発された現在でも、

まだ誤解が取り除かれておらず苦しむ人たちがいると事実があるのです。

たしかに「ハンセン病?聞いたことあるけどそれって何?移るの?」

と医療の知識がないとすぐに恐怖へと結び付けがちですもんね。

正しい知識が大事になってきます。

そう考えると、

エボシって強気で近寄りがたい人っていうイメージからめっちゃいい奴やん!って思いませんか?

宮崎駿監督がハンセン病患者を登場させた思いとは

もののけ姫の作中では、

包帯をまいた人たちの病気に関して説明する場面はでてきません。

しかし、この患者たちはハンセン病にかかった人たちであると断言する映像が残っています。

こちらは宮崎駿監督が2019年1月27日、

東京都東村山市の国立ハンセン病資料館で

「佐川修さんとハンセン病資料館」と題して講演した映像です。

佐川さんとは資料館に隣接するハンセン病療養所多磨全生園の入所者自治会長を務めており、

2018年1月に亡くなった佐川さんをしのぶために、

宮崎監督は「もののけ姫」にハンセン病患者を登場させたいきさつを振り返りかえりました。

「ありとあらゆる生業」の庶民がいて、

その中には非人や乞食、そしてハンセン病の人たちもいる。

「本当の民衆の姿がここにある。なんとかしてこの人たちが登場する映画を作りたい」

と考えていたが宮崎監督は行き詰まっていたそうです。

その時に全生園での出会いを通して、

「そこできびすを返して帰ることはできなかった。」と語っています。

「ここにそうやって生きてきたという証拠が山のようにあった。

僕は、もう本当におろそかに生きていけないと思って……。」

「はっきり『業病(ごうびょう)』と呼ばれる病を患いながら、

それでもちゃんと生きようとした人々のことを描かなければならないと思った。」

宮崎監督が嗚咽しながら話す姿がとても印象的なんです。

「生きる」ことがテーマであるもののけ姫。

こんなに悲惨な状況におちいると人は誰しも弱気になり、

自暴自棄になってしまいがちですが、

作中にでてくるハンセン病患者は皆、生きることは諦めてはいなかったし、

一生懸命に自分の仕事をこなしている姿が描かれています。

この宮崎駿監督の映像を見た後に、

もう一度彼らのひた向きな姿を見返すと、

彼らの生き様がより鮮明に色濃く映るのではないでしょうか。

エボシ御前は私たちの理想とする姿

https://twitter.com/neiryukensho/status/1280967038865833984

森を守ろうと必死になるアシタカに対して、

生活のためとはいえ森を切り崩していくエボシは、

単純に考えると悪役のイメージが強いのではないでしょうか。

しかし、もののけ姫のテーマは「生きること」です。

アシタカは森も人間も共に生きる方法はないのかと常に考えています。

つまり、単純にどちらが正しくどちらが悪いと判断するお話ではないのです。

1999年9月、もののけ姫の全米公開に先立ち、

宮崎駿監督がアメリカに訪れた際に、インタビューで

「エボシは良い人とも悪い人ともとらえることができない複雑なキャラクターで、

アニメや実写でも稀な存在ですが、

このキャラクターを作った理由はなんでしょうか?」

との質問に対し

「ものすごく深い傷を負いながらそれに負けない人間がいるとしたら、

彼女のようになるだろうと思ったのです。」と述べました。

作中のラスト、モロの首がエボシに食らいつく場面があります。

裏設定では、ここで殺されるはずだったそうですが、

腕を食いちぎられるだけで死までにはいたりません。

制作陣の議論の末に、

「森に対して悪いことをしたのだから報いは受けないといけない。

しかし、死ぬまでは行き過ぎでは?」となり、

生き残るという結論に達したようです。

そう考えるとエボシも生かされた存在であり、

とても重要なキャラであることがわかります。

エボシは最後にアシタカの気持ちを汲み取り、

「みんなはじめからやり直しだ。ここをいい村にしよう。」

と仲間と一緒に人と自然が共存できる村作りを決意するのです。

これは私の想像でしかありませんが、

宮崎駿監督はエボシというキャラクターを通して、

人は生きていれば辛い経験や乗り越えなければいけない困難がたくさんあるだろうけど、

エボシのように強く生き抜いてほしいというメッセージが込められているのではないかと考えさせられてしまいました。

まとめ

この記事を読んだ後、

エボシ御前の印象が大きく変わったのではないでしょうか?

宮崎監督も

「このもののけ姫の作品は一度見ただけでは理解しにくい部分もあると思う。

時間がかかって評価されていく作品だ。」と言っています。

このような事実を知った後に見返してみると、

また新たな発見や見方ができるのではないかと思います。

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